第9回箸川柳大賞公募

兵左衛門

今年より8月4日(はしの日)に発表となります箸川柳も、今回で第9回を迎えることが出来ました。 募集締切りが早まったにもかかわらず、3,523句のご応募をいただきました。ありがとうございました。 ロンドンオリンピックも佳境を迎えておりますが、箸川柳もそれに負けず盛り上がりを見せたいと思います。

兵左衛門社内での厳正なる審査の結果、大賞ほか、各賞が決定いたしましたので発表させていただきます。



埼玉県 ふうたん様、おめでとうございます!

大賞賞品/箸職人が作るオリジナル(大賞川柳入)の携帯箸「八四郎(はしろう)」セット

講評/いかにも時世を捉えた一句。「大和撫子」という語は古いが、女子サッカー「なでしこ」の活躍は目覚しく、今が旬のコトバ。 しかし、日本人なら誰でも出来た「箸使い」が疎かになってきた昨今、「箸が泣く」もち方も多いよう。時代のコトバを使い「今」の風量を描いた作品である。

講評/「元は、イチローのバットだったんだって…」などと言われると、その箸で素振りの真似事をしたくなるのはオトコの心理。再利用のエコ時代にも、心の面でこんな喜びが生れるのも「かっとばし」の効用。

講評/食べ過ぎてメタボになったのは自分のせい…だが、それを誰かのせいにしたいのも人情。三度三度お世話になる「箸」のせいにされて、箸はきっと迷惑なことだろう。人間心理が会話調で描かれて面白い。

講評/言葉遣いの乱れが指摘されて久しいが、「箸使い」もあまり煩く言われなくなってしまった今日、「文化」というものが希薄になっているように感じるのは作者だけであるまい。「リンク」という昨今の語が利いている。

優秀賞賞品/箸職人が作る優秀賞川柳入り箸セット

評価/若い男性が、眼中になかった古参の女性の箸使いを見て好きになった。それも「ちょっと」というのが面白い。いかに美しい箸使いは魅力的かということを表している。

賞品/受賞された方の名前を入れたお箸+近藤氏の著書

近藤珠實(こんどうたまみ)氏

『清紫会』新・作法学院学院長。 作法をより現代社会にマッチしたものとするため、新作法「清紫会」を結成。新・作法学院で生徒指導の傍ら、テレビ、講演、執筆、社員教育などで活躍中。

評価/頭の天辺に生えたスカイツリーや手のひらに載せて映したスカイツリーの写真は面白い。まして箸でツリーを摘んでやろうという撮り方はユーモアの塊り。今が旬なスカイツリーと箸のコラボは、「箸川柳」として目の付け所がいい。

賞品/受賞された方の名前を入れたお箸+尾藤氏の著書

尾藤一泉(びとういっせん)氏

川柳家。 川柳「さくらぎ」主宰。川柳学会専務理事。女子美術大学、武蔵野美術大学非常勤講師。Web川柳博物館。著書に『川柳総合大辞典』、『親ひとり子ひとり』、『門前の道』ほか。

評価/ふたりが平仮名となっているので、年齢も男女も様々な状況の二人と考えられます。恋人同士、親子、兄弟、姉妹、老夫婦などです。迷っているのはこれからの生き方でしょうか。二人の今後の関係でしょうか。過ぎし日の思い出の一こまでしょうか。それとも、唯目の前にある食べ物でしょうか。

賞品/受賞された方の名前を入れたお箸+三田村氏の著書



三田村有純(みたむらありすみ)氏

東京藝術大学美術学部教授。 日展評議員・日本現代工芸美術家協会評議員。日本漆文化研究所副理事長。

評価/スポーツの祭典、輝け国旗、世界に誇れる箸の国、もつ人遣う人世界に輝け箸美人!

賞品/受賞された方の名前を入れたお箸

賞品/入選された方の名前を入れたお箸

※順不同

作品 お住まい
/お名前orペンネーム(年齢)
美しく箸を持つ手にときめいて 兵庫県/加藤さん(15)
人生の節目節目に箸がある 埼玉県/ 雲がくれさん(63)
誕生日箸もちょっぴり長くなり 徳島県/あいらむさん(45)
100歳で箸を離さずボケ知らず 広島県/よし得さん(69)
新しくできそでできない妻と箸 愛知県/流の父さん(53)
日本の品格示す箸文化 神奈川県/柴山さん(70)
はんなりと箸が伸びゆく京料理 広島県/落犀亜qんさん(58)
厚塗りが剥げて地を出す箸と妻 埼玉県/佐々木さん(61)

※順不同

作品 お住まい/お名前orペンネーム(年齢)
古い箸今日が最後の舞台だよ 東京都/吉永さん(13)
俺よりも長持ちしそう妻と箸 千葉県/石川さん(65)
芋と父上手く転がす母の箸 東京都/ルークさん(50)
マイ箸でマナーやエコを持ち歩く 愛知県/月と太陽さん(21)
三世代癖が似ている箸使い 岩手県/カズちゃんさん(49)
ダイエット箸はなんでも知っている 奈良県/ひろさんさん(18)
XがVになるまで言い聞かせ 兵庫県/KAZUさん(46)
スプーンより箸が上手なバアちゃん子 茨城県/海老原さん(57)
リハビリで孫に教わる箸づかい 群馬県/きんじろうさん(31)
いい箸で妻の料理が美味くなる 東京都/長峯さん(32)
引退に感謝を込めて箸供養 東京都/まほろばさん(52)
婚活の箸でつまんだまめ男 北海道/妖紀さん(47)
花柄の箸でめでたくちらし寿司 東京都/ふうさん(32)
まだ箸でつかみきれない恋の機微 東京都/汐海 岬さん(40)
総評
箸を通して見てきた現代社会が川柳で描かれる。このような行事も9年目を迎え、それぞれの年でそれぞれの箸と社会を描いてきた。「なでしこ」や「スカイツリー」など、何時の日か振り返ったときに、それらの句は輝きを失わないで風俗資料となるだろう。継続することの重要性を感じている。応募数も増えたようで、いまだに衰えぬ「箸川柳」の将来がまた楽しみになった。
特別審査員/尾藤一泉