第18回箸川柳大賞

2023年6月4日に締め切りました「第18回箸川柳」公募に、3,081句のご応募をいただきました。

兵左衛門社内での厳選なる選考の結果、大賞ほか、各賞が決定いたしました

各賞の選評は十六代尾藤川柳氏にお願いいたしました。

第18回箸川柳 大賞
コロナ明け帰省の孫の箸長し
岐阜県 田中さん(59歳)

何気ない日常の一コマを描いた一句だが、ここにはコロナ禍による分断の世を越えてきた「今」という時間が捉えられ、逢うことが難しかった遠くの孫との再会の喜びとともに、離れていた年月の間の孫の成長が「箸長し」というだけで目に映るように描かれた。僅か十七音で捉えた昨今の新型コロナと人間の時間が凝縮された見事さに拍手したい。

大賞賞品/箸職人が作るオリジナル(大賞川柳入)の携帯箸「八四郎(はしろう)」セット
優秀賞
アプリより箸に求めるマッチング
東京都「ペンネーム/じゅくん」さん(39歳)

いやはや時代は出合いの機会を奪い「マッチングアプリ」などがデカい顔をする。そんなAIのマッチングより、ちょっとした箸の仕種を見た方が、よっぽど相性が判るというもの。

優秀賞賞品/箸職人が作る優秀賞川柳入りけずり箸
優秀賞
いいお箸指と心にフィットする
大阪府「ペンネーム/減点パパ」さん(64歳)

ちょっと標語のようだが、毎日使うだけにこのフィット感は、単なる使い易さではないのだろう。何よりも「心」にフィットするのが、箸への愛着となり、人生の友ともなる。

優秀賞賞品/箸職人が作る優秀賞川柳入りけずり箸
優秀賞
四年ぶり箸とおしゃべり止まらない
徳島県「ペンネーム/のりのり」さん(57歳)

時代を捉えた一句。コロナ後の開放感が、会食の場にも戻ってきた。「黙食」などという嫌な言葉が大手を振ったじだいを越えた喜びが句から伝わってくる。

優秀賞賞品/箸職人が作る優秀賞川柳入りけずり箸
優秀賞
マイ箸が救う地球のいま未来
三重県 小林さん(36歳)

これもSDGsを描いた時代の一句だろう。もちろん「箸」だけで地球が救えるわけではないが、身近な日常の「箸」のような一歩から意識することが、やがて人類を救う道に…。

優秀賞賞品/箸職人が作る優秀賞川柳入りけずり箸
優秀賞
箸文化折れたバットが蘇る
埼玉県「ペンネーム/ふうたん」さん(73歳)

まさに時代の要請であるSDGsは、早くから兵左衛門さんが取り組んできたことの一つ「かっとばし!!」。蘇った箸は、実用品というだけでなく有名選手への思いも繋ぐ一石二鳥の妙。

優秀賞賞品/箸職人が作る優秀賞川柳入りけずり箸
特別審査員 十六代尾藤川柳 賞
行儀よく箸の向こうに神がいる 大阪府「ペンネーム/せっちゃん」さん(80歳)
食卓の上に並べられた箸は、ピシッと揃えられている。時には、お好みの箸置きに彩られる。日本の食文化の中で神代から伝わる箸文化は、日本人の食に対する姿勢そのものだった。箸の行儀良さとともに食事という日常の些事にも「行儀」を求める文化は美である。日本人に生まれてよかったと思う。
十六代尾藤川柳
1960年東京生まれ。十六代目の櫻木庵川柳。
女子美術大学特別招聘教授、「川柳はいふう」主宰。
新聞川柳欄選者、各種公募川柳選者を務めるかたわら、YouTubeに川柳の番組「RyuTube」を放送するなど発祥以来260年、人々の中に生きた文芸としての川柳発信を行いながら、川柳文化の継承を担っている。

賞品/箸職人が作る優秀賞川柳入りけずり箸

特別審査員 兵左衛門会長 賞
マイ箸のチョイスで知った子のセンス 熊本県「ペンネーム/ニーナ」さん(43歳)
伝統文化である「箸」のイメージに古さを感じさせないオシャレな表現で「粋」を感じます。
兵左衛門会長 浦谷兵剛
1945年福井県生まれ。
長年にわたって箸のもつ奥深さ・文化性を唱え、各地で啓発活動を重ねる。保育園や小学校でのお箸知育教室を展開、父母・教育機関からも注目を得る。ボランティア活動として、「阪神・淡路大震災」「三宅島火山噴火」「東日本大震災」など災害被害者の人々に箸を寄付。箸文化認知を高めるため日枝神社の箸感謝祭に協力。
アオダモ(バットの素材)の保護育成運動に参加。これらの活動が認められ、日本文化振興会より「社会文化功労賞」を贈られる。

賞品/箸職人が作る優秀賞川柳入りけずり箸

入選※順不同
  • 守りたい箸で食事をする平和 大分県「ペンネーム/ばばりん」さん(64歳)
  • 外食が増えてマイ箸嬉しそう 千葉県「ペンネーム/やじろべー」さん(57歳)
  • 箸美人魚も僕も骨抜きに 埼玉県「ペンネーム/サバエモン」さん(29歳)
  • 箸さばきさすが侍ヌートバー 神奈川県「ペンネーム/中年やまめ」さん(76歳)
  • WBCチャンスとピンチ箸止まる 鹿児島県 「ペンネーム/吉 哉郎 」さん(69歳)
  • 愛情をこころに運ぶ介護箸 新潟県「ペンネーム/オム列」さん(48歳)

入選賞品/兵左衛門の人気のお箸を差し上げます。

佳作※順不同
  • オオタニのバットもきっとかっとばし 東京都「ペンネーム/ハルル」(68歳)
  • ふる里にまだある箸で母の味 愛知県 水野さん(70歳)
  • 剥げてきた箸もジイジも愛おしい 福島県「ペンネーム/やんちゃん」さん(61歳)
  • AIにわからぬ箸の食べ心地 東京都「ペンネーム/むーむー」さん(41歳)
  • 懐かしむ巣立った子等の箸眺め 神奈川県「ペンネーム/明けの明星」さん(82歳)
  • 会食が増えて見直す箸使い 神奈川県「ペンネーム/リコ 」さん(42歳)
  • 人生の節目節目を知るお箸 兵庫県「ペンネーム/やすよ」さん(40歳)
  • インスタに映える異国の箸使い 愛知県「ペンネーム/蒼介」さん(46歳)
  • ママ聞いてにこにことよく休む箸 広島県 藤井さん(61歳)
  • 一膳の箸から旅を思い出す 北海道「ペンネーム/もち美」さん(31歳)
  • マスク美人食事をしたら箸美人 神奈川県 須山さん(32歳)
  • 武器よりも箸で平和を届けたい 栃木県「ペンネーム/ター坊ママ」(63歳)
総評
コロナ禍の制約された時代を抜けた開放感が句にも漂っているようで、明るい句が多かった。
人間を直接捉える川柳に、箸を通して見た世界がこの中にある。
中には、「武器よりも箸で平和を届けたい」といった句もまじり、単に食の為にある箸を超えた世界を見ている目もあった。
回数を重ねる毎に、同想の句も増えて来るが、その中から時代を捉えた句を選ぶことを大切にした選考を心がけた。令和五年の箸を通したニンゲンの世界を楽しんで頂ければ幸いである。
特別審査員/川柳家 十六代尾藤川柳

第18回箸川柳大賞にご応募いただいた皆様、誠にありがとうございました。
今後とも、兵左衛門をよろしくお願いいたします。

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